動手帳思念大戦Ps-1 cp-2  スタークリエイト

思念体達の闘争、動手帳思念大戦。


Ps-1 cp-2  スタークリエイト

俺達はヤグレムにつられるままに図書館へと脚を運んだ、足無いけど。図書館では2冊の本がきゃーきゃー言いながら暴れている、まあ暢気でよろしい事。しかし気になったことがあった、こいつらは俺が出て行く時に声をかけたのだが、しっかり返事をしていた、あの状況のとき既に周りの人間は灰色の感情に囚われていたのだろうから普通ならこいつらにも影響がくるだろう、仮初めとは言え人間の姿をとっているのだから。それともやはり本だから影響が無かったのだろうか、そのへんもきっとヤグレムが話してくれるだろう。
「さて・・・今から諸々に関する話をしていく、こっちのペースで進めるから聞き漏らすな」
「とっとと話せ、聞きたいことが山ほどある」
「・・・・・まずは柱からだ、あの柱はいわば思念体を封じ込める漬物石のようなもの、かつ、その封じ込めた思念体の性質を周囲の人々に与えるというものだ、だが無論人間はその程度では微動だにしない、人間は常に様々な思念思想の渦巻く生き物だ、最近思念体はどうも回りへの影響力と化しているが、それでも思念体の力で心までも支配されるという事は無い、その思念体の力量に関係無くな。では何故今回うごメモ町周辺は私の性質に支配されたのか。現に世界は異常なまでの違反によって満たされている状態だ、その充満した違反は人々に不安と迷いを生む、それこそが人々の心に性質が入り込むスキを作っているのだ、スキを見て入り込んだ性質は柱を媒体として瞬く間に増幅していく、結果その地域の性質のみの感情しか持たない人間が集団で発生する。うごメモ町だけではない、今やあの柱はうごメモの世界各地に散りばめられてそれぞれの思念体の性質の影響を与えている、世界にばら撒かれた違反はいわば潤滑油、違反というのは強力かつ扱いが簡単だ、なろうと思えば誰でも違反者に成り得るも容易い上違反によって得られるものも絶大だからな。逃れる事など不可能だ」
「ちょっと待て」
「なんだ?」
「逃れる事が不可能と言ったな、じゃあ何故全く性質の影響下にいるのにどうともない奴らがいる、あとあのマント野郎は何なんだ」
「少しうるさいぞ、だからお前はアホなのだ、順を追って話すから黙れ」
ばっさりと言われてしまった、こいつは平和の思念とは別の意味で苦手だ、なんというかこう、独特な雰囲気が苦手だ。
その時図書館の扉の開く音がした、音を聞く限り力任せにあけているようだ。扉先輩は丁寧扱え愚か者。一体いくつの扉先輩が死亡フラグと立てたと思っている。
「イハン?いるかァ?」
実に聞き覚えのある声だった、そう、この声は俺の相棒ガルテス、決まった住居を持たない中年のオッサンだ。人や物を紙にする力を持っており、その能力をもってして世界を一度騒がせた事で有名だ。俺が最初に出会って最初に戦った相手でもある。見た目の通り扉先輩には優しくない。
「よく来たなガルテス、扉先輩は慎重に扱えバカ野郎」
「なんだァ?図書館の扉ガタが来てんのかァ?」
主にお前の仕業だ。
「まあいいだろう、ところでだ、お前がこの時間に此処に来るのはまた随分と珍しいじゃねえか」
「いや、アレだ、いきなり空は赤くなるわ、町の様子はあからさまにおかしいわでよォ、なんかあったんじゃねえかって此処に来たんだが・・・」
「ん?お前もどうもなかったのか?」
「どうもなかったってどういう事だァ?特に俺には何も起こっちゃいねえがよォ・・・」
「ヤグレム、どういう事だ、話せ」
「お前に指図されずとも今は話の最中だ。続きを話すぞ」
「おう」
「早速だがイハン、柱によって性質を塗り替えられた人間の中に影響が無い奴もいるといったな、その影響の無い奴らには一つの共通点がある、それは<違反に近い存在であること>だ」
「は?どういう事だ?」
「柱によって性質を塗り替えられる前に、世界中にばらまかれた違反によってその性質の入るスキマをつくる。違反に近い存在というのは違反者の事などではない、お前と近い位置関係にあることで違反に打ち勝つことが出来る存在の事だ、現にお前と何かしらの関わりがある人物だけがこの影響を全く受けていない、世界に充満しているよりもっと強い違反に接触しているからな」
「なるほどな、だが俺が最も知りたいのはそこじゃない」
「お前の言う、黒マントか?」
「そうだ」
「そんなに言ってほしいか」
「お前の意思で言え、どうせ頼んだって聞き入れんだろ」
「・・・・・」
奴が黙り込むと周りも自然と静かになった、図書館に重苦しい緊張が走る。



「奴の名前は<アズゥ=ブラックフェザー>、世間一般ではダークスターとして知られる<黒絶星の思念体>だ。残念だが私が奴について知るのはそれだけだ」
「アズゥ=ブラックフェザー・・・お前を柱にぶち込んだのもそいつか?」
「奴がふっかかってきたのは間違いないが、柱には自ら入った。奴の目論見は見えてこない、それに柱がどういうものなのかすら知る由もない、まあ入った所でわかったのは奴が人間の状態を不安定にして何かしようという所だけだ」
「それと気になることがあともう一つ増えた」
「何?」
「お前は何故そこまで知っている」
「・・・・・」
奴は答えなかった。その後何度もその質問を繰り返したが奴はその質問に対しては黙秘を続けた。きっと何か隠しているのだろう、それしか考えられん。だがしばらく待って奴は少しだけ口を開いた。
「お前がそこを気になるのは最もだ、だがまだ知るのは早すぎる。聞いた所でお前は信じる事すら儘ならんだろう」
「・・・・・」
今度は俺がだんまりした、なんか事が進むにつれて、奴の話が進むにつれて事の大きさと重大さがどんどんと膨張している、俺は<嫌な予感>がしたので追求をやめた。にしてもさっきまでの日常がまるで嘘のように今、世界は深刻な状況下に置かれている。とんでもない話だ。その時、ヤグレムは俺に話しかけてきた。
「それと、だ。今度は私がお前に質問する」
「なんだ?」
「お前が先ほど放ったスターガンだが、あれはどういう感じに撃った」
「どういう感じっていきなり言われても困るんだが・・・どうたったか、たしかお前に歯が立たないからヤケクソで何も考えずにテキトーに撃った」
「そうか・・・これでようやく繋がった」
なにやら納得した様子を見せるヤグレム(ただしやっぱり表情は変わってない)、こいつは先ほどいきなり俺にケンカをふってかけてきて<ゼロスターが通用せず、俺のスターガンでぶちのめされ>見事なまでに返り討ちにあったのだ。
嘘だ、実際は無縁断かわされるわ破壊光線吸われるわ破壊光線返されるわ破壊光線ちょっと掌にカスるわヤケクソで乱射したスターガンの大半は(というか被弾したもの以外全部)かき消されるわで一撃かましただけで向こうは降参の意を示したが実質俺の惨敗だった。おや、目から汗が。
「イハン、お前はスターにも性質があるのを既に知っているな?」
「ああ、黄希星(ハッピースター)と黒絶星(ダークスター)だろ?それぐらいは知ってる」
「だがお前が作り出す星は基本的に無想星(ブランクスター)という、どちらにも属さない星だ」
「なんだそりゃ」
「無想星とは思いの全く詰まっていない星、<在るのに存在しないもの>だ」
「まて、お前の言っていることは時々わからん、どういう事だ、そんなに矛盾が好きかァァーーーー!とでも言ったところなのか」
「噛み砕いて言えば<触れる幻>とでもおもっていればいい。無想星は星であって星でない、何も篭っていなければその性質を変えることもできないしそして元々無い物故にソレを無へと還すこともできない、だからゼロスターは一切通用しない」
「でももりもり消してたよなお前」
「思念体は普通の人間と比べたら確かに感情に多少の偏りはある、だがそれでも思念体は人間的な思考ができる、お前も違反の性質といえど心が無いわけでは無い、お前の作り出す星は無想星故に多少の感情の変化で性質が大きく変動する。試しに放ってみろ」
俺は手元で星を作り出し、ヤグレムに向けて発射した。結構心の中をからっぽにしたはずだ。見事にかき消された。畜生。
「やはり完全な無想星を作り出すのは難しいか・・・無心というのは相当難しいものだ、悟りでも開かないと至難の業だろうな。ちなみに今お前が放ったのは<黄希星側に寄った性質の無想星>だ、何故違反の思念がその方向の星までも精製できるのかは知らないが、何かあるのか?お前は」
「しらん」
なんてったって本当に知らない、普段俺はこの世界にある違反を糧に力を増幅させ、違反や迷惑行為による要因によって多々なる技が編み出される。一応<スタークリエイト>や<スターガン>も要因があるのだが俺が目を覚ました時から使えた技だ。
「とりあえず俺がうごメモで目覚めてすぐの段階で使えた技だ、それ以前は全くわからん」
「ならば最初に使ったときの話をしろ」
「ん?随分と喰いかかってくるな、言っておくがただの昔話だ、別にいいものでもないし手がかりがあるものでもないと思うが」
「無想星など今までに無い異例のものだからな、情報は知っておくものだ」
「随分と盛り上がってるじゃねえか」
ガルテスが割って出てきた。
「何、大したことじゃねえ、こいつがあの時の話をしろって言ったからな」
「ああ、アレか、随分と懐かしい話するんだなァ・・・あん時はお互い荒れてたもんだぜェ・・・」
「いやどう考えても俺はお前ほどじゃない」
「そうだったかァ?」
とガルテスと談笑しているとヤグレムが「さっさと話せ」とでも言いたげにこちらを睨んで来た。こいつの眼力おかしい。
「よし、話すぞ、あれは――」


2月11日―
俺はうごメモの辺境で倒れており気がついたら人だかりが多くあった、自分が何者かもわからない、自分がどうして此処にいるのかもわからない、何より体が動かない状態で、ぼんやりとした視界のなかでうごめき喚く人の姿がうっすらと写っていた、人の喚く声ががんがんと耳を刺激し頭が痛かった。その時、人々はまたよりいっそう大きな悲鳴を上げ、その声で意識がはっきりし俺はその場をすぐに離れた。何が起こったのか確認していなかったが、その確認していなかった瞬間で人の姿は全くなくなっており、かわりに無数の紙が散らばっていた。俺がその様子を詳しく見ようとまたその場に戻った。ばらばらと散らばり、降り頻る紙の中心には中年のオッサンがタバコをくわえている。オッサンは俺に気がつき、そして口を俺とオッサンは口をそろえてこう言った。
「お前・・・・」 「テメェ・・・」

「「誰だァ?」」

見事に言葉が一致し、俺はそのまま奴に言葉を続けた。

「さっきまで此処に人間がいたろう、奴らをどうした」
「アァ?随分と目立つ幽霊だなァ・・・なんだか知らんが、奴らなら全員紙にしてやったぜェ?」
「紙にしただと?その歳で厨二病か?世も末だな」
よく見ると紙には絵に描いたように人間達がプリントされていた、しかし奴のいうことがマジならこの人間達は先ほどまで群がっていた人間達なのだろう。
「紙にしてなんのつもりだ?」
「あ?群れてるのがムカつく、後は邪魔なだけだぜェ」
「確かに邪魔だった、実にすっきりしたぞ。だがお前は厨二病確定な」
「・・・お前よォ・・・随分変わった幽霊だなァ・・・」
「さっきから幽霊じゃねえよバカ、俺は思念体だ」
「なんだ?思念体だァ?なおさらわかんなくなっちまったじゃねェかよォ!!」
「キレんな、俺だって自分がなんなのかわからん」
「幽霊だか思念体だかしらねえがよォ!俺は今やたらと腹が立ってんだ!!テメェも紙にしてやらァ!!!」
「ハッ!上等!!ぎっくり腰とか起こすなよオッサン!!!」
とは言ったものの、俺は戦い方を一切知らない。ふと頭の中に<違反の思念体>の言葉が浮かんで言い放ってみたが結局それがなんなのかもわからない。自分にどういった能力があるのかもわからない。つまり俺は自分自身を一つもわかってない。大口だけ叩いたがこれは勝ち目が無いかもわからん。そして奴は襲い掛かってきた、奴が物を紙にできるのはわかったが肝心の方法は見てないせいでわからない。だが一体どんな技を繰り出してくるのかと思えば超大振りで殴りかかってきた、足が無いおかげかスムーズに回避できる。このオッサンは肉弾戦を得意とするのか、その後も何度も体術を駆使し攻めて来た、さらにこのオッサン、体格のわりにやたらと俊敏である。俺はさらに回避を続けた、てか回避しかできないからだ。オッサンは「なんで回避しかしねぇんだ」とでも言いたげな顔をしている。そんな事言うなよ、(言ってねえけど)それしかできないんだから。そして俺は奴の体術の攻撃範囲から逃れるために上空へと飛び上がった、これなら奴の攻撃は当たらない。こうでもしないとマジでのたれじぬしかなくなる。思惑通り奴は追ってこない、だが奴の性格的にぶちぎれて怒鳴ってきそうだがそれもない。すると奴の姿は突如として瞬く間に消え去り、あたりを見回してもその姿は見えなかった、すると俺の体はがっちりと背後から押さえられた、奴は俺の背後に回っていた。
「何!?」
「俺が空を飛べねェとでも思ってたのかァ?あめえんだよ!!」
すると俺は奴の拘束にどうする事もできずにそのまま頭から落下しモズ落としをぶちかまされた。痛い。顔が半分埋まった、すぐに引っこ抜いたが土まみれだ。
「俺がただのオッサンだと思って油断しねえ事だなァ、俺は瞬間移動だってできんだよ、普段使わねえだけでなァ」
「っちぃ・・・!」
「あー、ムシャクシャするぜェ・・・そこにある全てが気にいらねえ・・・!気にいらねえもんはよォ・・・全部、紙にしてやるぜェ・・・!!だが、お前はただ紙にするんじゃつまんねえからな、とっときのもんぶちまけてやらァ!!!!」
奴は腕に力を込めはじめ、そこに膨大なエネルギーを収束しはじめた、見るからにヤバイが逃げると瞬間移動かまされて逆にヤバイ。絶対絶命だった。
「喰らいなァ!!」
そして奴が腕を前に突き出し言い放つ!
「<X・デリート>ォ!!」
膨大な力によって放たれた光線のようなものがこっちに突っ込んでくる、その光線はあらゆるものを巻き込み、巻き込まれたものはペラッペラの紙に姿を変えた。
「ヤベェ!」
などという言葉もむなしく、あっという間にその光線は俺の目の前を通過していった。

「・・・・・口の割にはずいぶんとあっけねえなァ、こんな簡単に紙になっちまうたぁよォ」
「全くだ、自分でも驚いたぞ、ついでに倒した気になってるお前もお笑いだ」
「何ィ!?」
紙の形となった俺はみるみる姿を変え、元の姿へと戻った。そして奴の顔を掴み地面を引きずった、これは痛い。
「ぐおおおおおおおおおおおお!?」
「勝った気になってんじゃねえぞ中年」
「オイィ?紙になった奴は自由には元に戻れねえハズなんだがなァ・・・?」
「まあ当然だろう、お前の技で紙になったわけではない」
「!?」
被弾しそうになった直前、俺が強く念じる事で俺の姿は薄い紙に変化したのだ、気持ち悪かった。風圧で無尽蔵な方向へ飛んでいったため被弾は免れたが、酔った、気持ち悪い。少しずつなれて行こう。だがこれで俺の能力が少しずつ判ってきた。しかし気持ち悪い。
「変身か・・・?」
「まあそんなトコだ、うっぷ」
「しかしなんだァ?逃げる技ばっかかァ?」
「おいオッサン」
「あ?」
「最近ここいらで起こってる迷惑行為って何かわかるか?」
「お前ほんとに変わった奴だなァ・・・・」
「いいから答えろこのウスノロが」
「星がどうだか騒いでる奴が多い気がするぜェ、今そいつらは俺の手元だがなァ」
「星・・・星か・・・・・こいつはいい・・・!!」
俺はなにか閃いたように呟き、悪い笑みを浮かべた。それはもう非常に悪い笑みを。
「何を笑ってやがる?」
「・・・・・<スタークリエイト!!>」
軽く念じると俺の手元で一つの星が精製された、思惑通りだ。名前は即席で思いついたものをテキトーに叫んだだけであるが。
「星?星なんざ作ってどうすんだァ?」
「こうするんだよ!!」
俺は手を銃の形に構えて奴に向けた、精製した星は人差し指の前にあり、そしてまた軽く念じるとその星は奴にむけて真っ直ぐ高速で飛んでいき、奴に直撃した。「ごふッ!?」と奴はいいながらふわっと地から足が離れ飛んでいく。手軽に使用できて威力も申し分ない。<スターガン>と名づけよう。
「てめェ・・・こんな技が使えたってのか・・・!?」
「いや、今思いついた、たった今な」
「ふざけやがってよォォ・・・・!!」
状況は一転し完全にこちらのペースとなった、<違反の思念体>であり、今使えた技からして俺の能力はおそらく違反などの人が嫌がるものを力にする能力なのだろう、相変わらず思念体がなんなのかわからないが。とにかく自分の能力がわかってしまえばこちらのもの、今のところ変身とスタークリエイトとスターガンだけだが。まあ何とかなるだろう。相手は瞬間移動と物理攻撃、あとビーム、しかもビームを撃ったあとのアイツはひどく消耗している、使うと体力をごっそりもっていかれるからだろうか、基本物理攻撃だけなのも納得がいくだろう。俺はスターガンでバリバリ攻めた、もう何も怖くない、いかん、死亡フラグだ。だが欠点もある、スターガンを使うにはスタークリエイトでまず作る必要がある、さほど時間はかかるものでもないが作る→撃つの過程に多少のラグがある。そのラグのせいで奴から何発か右フックをもらった、意識がぶっ飛びそうなくらい痛い。



やがて勝負は続き、俺も奴もボロボロだった、当初キレていたあのオッサンはどこか楽しげな表情を浮かべている。Mなんだろうか。
「スターガn・・・・!!」
俺がトドメをさそうとすると奴は瞬間移動で俺の間合いに入ってきた、そして奴の拳が俺の顔面めがけてまっすぐ伸びて行き、拳が俺の顔面を貫くと同時に射出した零距離スターガンで奴はぶっ飛んだ。俺の意識はそこで途絶えた。






「裏切り?」
「ああ、そうだ、仲間に裏切られてなァ、信用を置いていた奴なだけあってショックだったな、だから俺はもう誰も信じねえ、人間なんざ汚い生き物だ、信じりゃ後は裏切られるだけだぜ」
「オッサン、人情に熱いんだな、暑苦しい」
「てめェさっきから思ってたんだがほんと口数がへらねェなァ・・」
「違反の思念だからな」
「で?なんだ?その<思念体>ってやつはよぉ?」
「だからさっきも言っただろが、俺だってしらねえんだよ、自分の事だがな」
「お前本当に変わった奴だな・・・」
「それで?どうすんだお前」
「あァ?」
「また人間紙にして回るのか?」
「人が群れてんの見るだけで腹が立つんだよ、まあいくら紙にしたところで心に開いた穴が塞がる事はねえんだがよォ・・・」
「へえ、そう、じゃあ次あった時また勝負しようぜ」
「は?」
「お前みたいなオッサンに引き分けで終わるとかそんなふざけた思考俺はもってねえんだよ、今日はお前が暴れぶっぱだったせいで調子が出なかったが、次にやれば俺が勝つ、間違いねえな」
「相変わらずの大口じゃねえかァ!!後さっきからオッサンオッサンってうっせえんだよ!!俺はガルテスだ!!覚えとけよォ!!?」
「やっぱ元気になったな」
「ああ?」
「何が信じないだ、やっぱ心のどこかに寂しさがあるんじゃねえか、なあ?ガルテスさんよォ?」
「ケッ!あんた口でけえだけじゃなくて人の足元まで見やがるか!てめェも大概ワルだなァ!!」
「はいはいわーったわかった声がでけえぞバカが、そんな元気ならとっとと負けねえ程度に強くなって来い、いくらやった所で勝つのは俺だが」
「あいよ、で?お前はどうすんだ、これからよォ?」
「その辺見て回る、此処で倒れてた以前の記憶が全く無いからな」
「そうかい、じゃ、俺はとっととずらかるぜ、次あったら紙にして壁に打ち付けてやらァ」
「上等だ中年」
「ああそうだ、一つ忘れてたぜェ?」
「?」
「お前の名前なんていうんだ?」
「名前・・・か」
俺はその場で思いついた名前を答えた。
「イハン=メモラーだ、覚えとけ」






「って感じだ、スターガンとスタークリエイトは思いつきってわけだ、お前が望むような話じゃねえだろ?」
「むう・・・倒れていた以前の記憶は無いのだな?」
「ああ、全く無い、思い出せもしない」
「どうもその日、イハンは空から降ってきたらしいぜェ?」
「空から・・・まあいい、頭に入れておくことにする、それとイハン」
「あ?」
「<純粋な>無想星だが、どうにか意図的撃てるように稽古をつけることにした」
「えーめんどくせー」
「何にも染まってないこの星は強力なのだ、撃てるに越した事はない」
「随分強力的だな、いっつも無愛想なくせに」
「もう一度言ってみろ」
だが断る
すると奴は無言で俺をエンプティホールの中にぶち込んだ、10分近く中でシェイクされた、実際には3分しか経ってなかった、おのれ。
「あとは、次の柱の場所へ向かってもらうぞ、ヴィヤズと共にな」
「またかよ、まあいい、柱があるとどういう状況になるかは把握したからな、とっとと柱の中の奴を解放すりゃいいわけだろ、なんで平和の思念となのかが全く理解しがたいが」
「嫌ですか?」「嫌です」
見ろ、見事なカウンターで返した。
「てかお前はこねえのかよ」
「私は調べたい事がある」
「あーはいそうですかっと、グリモア!クロニクル!」
こちらに気がついた2冊がとてとてと走ってくる、そしてグリモアがその勢いのまま抱きつこうとしてきたので受け止めてほっぺをつねってやった、「うにゃー」という言葉を発しながらうれしそうにしている。余談だがこいつのほっぺはすごくやわらかい。
「お前達は世界に散らばった違反の影響を受けない、柱の影響のある所、もしくは柱そのものを見つけて来い、ただし近づきすぎるな、流石に影響が出る」
そう言った直後にグリモアが抱きついてきた。
「こうすればちかづいてもえいきょううけないよ!」
<違反>を体にこすりつける意図なのだろうか、こいつは頭が回るのか回らないのかいまいちさっぱりだ。あと苦しいから抱きつくのは勘弁。
「イハン、それなら俺も手伝うぜェ?どうやら俺も影響うけねえみてぇだからなァ」
「そうか、勝手にしろ」
「ひでえ」
こうして俺達は各地で封印された思念体を解放して回る事となった。ハッキリ言うとめんどくさいことこの上ない。




フェイズ2へ続く。