隣接の多界創生

・イハン
亡くなった祖父が経営していた図書館を、売却阻止の目的で切り盛りする事になる少年。
ちょっとぶっきらぼうで、誰に対してでも荒々しくあたる傾向があり、心を開く事は中々無い。
今の性格は、祖父が死去した影響であり、祖父の生前は今ほど人との関わりを避けたりしなかった。
切り盛りする事になったもうひとつの理由である、人の姿となれる魔導書『グリモワール』に振り回される事で、
若干彼の性格も変わってきているようなそうでもないような。
これから自分に降りかかる不幸を「嫌な予感」として察知する謎の特技を持つ。
好物はホットケーキと紅茶。嫌いなものは幽霊と辛い物。

グリモワール
イハンの祖父が経営していた図書館の本棚の中で静かに封印され眠りについていた魔導書。普段はグリモアと呼ばれる。
イハンの手により開放され、本の姿と人の姿を自由にとることが出来る。
究極の魔導書の名を持ち、所有者に絶大な魔力と魔術の知恵を授ける森羅万象を司る書物。
すごい魔導書ではあるのだが、彼女自身はそこまであたまがよろしくない。
一応自身に記された魔術と魔力を自分で扱う事もできる。
非常に高身長なのだが、好奇心旺盛で無邪気な性格と、精神は少女のそれである。
彼女が喋る全てのセリフには、<漢字が無い>。
好きなものはカステラとかわいいものとあとイハン。嫌いなものは『難しいもの』。

・クロニクル
グリモアと共に封印されていた歴史の書。
グリモアの封印が解かれてしばらくした後にグリモアがその存在を思い出し、開放された。
万物創造から今に至るまでのあらゆる歴史や、望めば個人の生い立ちさえ知る事のできる全宇宙の歴史書
内容を書き換える事でその事実を改変する事さえできるが、規模に応じてその改変に制限時間が設けられる。
改変した事そのものは、改変時に彼女の周囲にいた人物のみが認識できる。
常識人、もとい常識本であり、しっかりとしていてグリモアのお姉さんのようなポジションにいるが、彼女より身長が低いのを少し気にしている。
しかし、常識本故のさだめなのか否か、イハン以上にグリモアに振り回される。
目が悪く、イハンがかけていたメガネの度がピッタリだったため、イハンが「コンタクトに変えようと思っていた」のを理由にそのまま貰った。
好きなものはモンブランと古いもの。嫌いなものは水と寒い所。

・バイブル
しばらく誰にも悟られる事無く図書館に紛れ込んでいた謎の聖書。神語りき聖書の名を持つ。
人に神の教えを説き、信仰を糧として神の持つ御力を授かったり与えたりできる。
性格は随分とのんびりやで、普段から何を考えているのかわからない。その上気が付くと何処かに消える神出鬼没の存在。
動きもまったりしているのだが、他者の視界から外れた途端に肉眼で目視不能なレベルの高速移動を行う。
小さい体からはまるで予測できない程の大食いで、のんびりしている時は何かしら食べている場合が多い。
いなくなったとしても、わりと奇想天外な所から出てきたりする、遅さも速さも文字通りのマイペース。
好きなものはチョコバナナ。嫌いなものはわからん。

・スクロル
完璧な水没を成されていた所をグリモアによって助け出された古の巻物。
古来よりの秘伝書の名も持ち、伝達する事を得意とする。
SAMURAIのような口調を使い、武士道精神を重んじるといった
静かながらも情熱を秘めているのだが、強烈なまでにドジで威厳もクソも無い。何故水没していたのかもお察し。
だが剣の腕は確かであり、伊達にSAMURAIやっていない。
好きなものはお茶菓子と武器。嫌いなものは斬れないもの。

ネクロノミコン
「襲撃」という形でイハンの図書館へとやってきた、グリモアとはまた違うタイプでグリモアの事が好き過ぎる魔導書。
禁忌の魔導書なる名を冠し、所持者の魂を糧としてこの世の理から離反した混沌を生み出す「禁術」を扱う事を得意とする。
グリモアと比べるのが間違いとまで言わしめるまでにその力は強大。
過去よりグリモア固執するも、グリモアが記憶の片隅にすら自身を留めてくれなかった事に怒り、
彼女の中に「ネクロノミコン」という存在を固定する呪いをかけた。
おっとりしていてやわらかな物腰で話すのだが、その言動はどこか狂気じみており、行動理念の殆どにグリモアの存在がある。
好物はグリモアとピーチパイ。嫌いなものは邪魔なもの全て。

・ルコ
イハンの姉で若干寝不足気味な町一番のお医者さん。
コーヒーを愛飲して常に目の下にクマを作っている。
口もちょっと悪いので近寄りがたい印象を受けるが、腕は確かだし性格も見た目ほどゲスくない。
イハンとはよく言い合いになるものの、互いに良き理解者である。
見たものの技術を瞬時に自分のものにするという特技を持つ。
大学病院で研修生だった頃に世界でトップレベルの腕を持つ医師のオペの様子を見学する機会があり、その際にその医者の技術の全てをトレースした。
田舎町の病院でその身をとどめているのは、「所詮偽者だから」らしい。
好きなものは団子とコーヒー。嫌いなものは馴れ合い。

・オグ
イハンとルコの祖父。既に故人。
以前図書館を経営していた人物、変わり者と称されて身内から蔑まれていた。
彼にとって本は友人であり、本を好きな者もまた友人である。
グリモアやクロニクルなどの存在もあるので、本が友人というのはあながち間違いでもない。
図書館にある本は全て網羅したと豪語し、今でもイハンに「すげえヤツだった」と言わしめる。
病に倒れ、自分が長くないと悟った際にグリモアとクロニクルに封印を施し、本棚の中に静かにしまった。
好きなものはショートケーキ。嫌いなものは本が嫌いな者。

・アズゥ
とある魔導書を探してイハンの図書館へとやってきた青年。
グリモアの魔力を察知して駆けつけたが、目的のものはグリモアではないらしい。
やたら物腰がぐんにょりするくらい柔らかく、性格も穏やか、しかし抜け目もスキも一切無く、洞察力も高い。
グリモアからヘンタイと称され落ち込んだりするなど、わりとグラスハートでナイーブ。
魔力を完全に打ち消す不思議な能力が使える。
好きなものはヨーグルトと旅行。嫌いなものはねばっこいもの。

・エンヴィー
アズゥと同じ、とある機関に所属するアズゥの部下。崇拝とまではいかない程度にアズゥを尊敬している。
アズゥの「魔導書捕獲失敗」に納得がいかず、イハンの図書館へと足を踏み入れた。
勝気で気が強い一方で、アズゥに認められたイハンに対してやきもちとか嫉妬とかのような感情を抱く。
理由は当然、「自分がアズゥに認められた事がないから」。イハンにとっては迷惑しでかない。
草属性の魔法をある程度心得ており、植物を急成長させたりできる。
好きなものはパフェとアズゥ、嫌いなものは自分に無いものをもっている者。

・九十九街道宮橋
町でそこそこ名の知れたコーディネーター。
ちょっと独特の思考を持ち合わせるが、彼もそれは自覚しているらしく「この界隈みんな変人ばっかだよ」との事。
気に入らない客に対して、『生涯二度と外を歩けなくなるレベルでヤバいコーデ』をしたりするなど、自分に対して正直で素直。
コーディネートも「楽しいから」やっている節があり、基本的に自己が優先される。
しかし、何も考えていないようで人の話や意見はしっかりに聞くなど、人との付き合いに対してはあまり自我が強調されない。
言葉の壁を破壊する特技を持ち、動物と会話したり、「言葉にならない声」の内容を理解するといった芸当をやってのける。
好きなものはプリンと楽しいこと、そしてバカをバカにすること。嫌いなものは楽しくない要因全てと、人をバカにする人。

・ルーツ
不慮の事故によって四肢と言葉を奪われた少女。
生きる意味を失ったと悟り、彼女は死を望んでいるのだが、自ら死ぬ事が出来ずにただ奇声をあげることしかできない。
既に両親からも見放されていたのだが、訪問販売で家に来訪した九十九街道が、現状を見かねて引き取った。言うまでもなく両親はコーディネートされた。
冷たい目をしていて、必死に言葉を紡ごうとしても彼女は奇声をあげる事しか出来ず、その現状に泣き出す。それをひたすらに繰り返す。
好きなものは無い。嫌いなものも無い。